事例 スキャンサービス

スキャンサービスが切り拓く品質管理の新境地

深田 和稔 様

株式会社オプナス
秩父工場 製造部

深田 和稔 様

PROFILE

株式会社オプナスは、各種錠前やセキュリティ製品の企画・開発・製造・販売を手がけるメーカー。金融機関向け金庫錠で培った技術を基に、住宅や自動販売機など幅広い分野に製品を提供している。

本事例で活用された製品

TXS Microシリーズ

TXS Microシリーズ

高出力マイクロフォーカスX線
CTシステム

高出力 X線源230kV/300kVを搭載。
幅広い製品でクリアな画質が得られる高出力マイクロフォーカスを汎用に使いやすくしたシステム。
アルミ製品、樹脂製品の内部スキャンに威力を発揮。

導入前の課題

  • 内部不具合の原因が特定できない
  • 断面確認のみで全体把握が困難
  • 内部気泡の位置や分布が把握できない
  • 不良率が高く品質が安定しない

導入後の効果

  • CTで内部構造を非破壊で可視化
  • 3次元で内部状態を正確に把握
  • 内部気泡の位置や分布を明確に可視化
  • 良品率80〜90%まで大幅に改善

CTスキャンで見えない不具合を可視化。今後は、品質改善から製品開発パートナーへ。

株式会社オプナス様は、自動販売機のハンドルロックや住宅向けドアハンドルなど、日常で多くの人が触れる製品を製造する一大鍵メーカーです。日本銀行をはじめ、日本のほとんどの金融機関に設置されている金庫室扉向けダイヤル錠や貸し金庫錠などを、約70年にわたって製造をされてきました。今回は、製品品質の改善にテスコのCTスキャンをどのように活用されたのか、その背景と導入効果についてお聞きしました。

セキュリティを支える鍵メーカーの製品づくり

ーー株式会社オプナス様の事業内容について、教えてください。

深田様:当社は、鍵やロック製品を製造している企業です。もともとは日本銀行を始めとした金融機関の金庫の鍵を中心に扱っていましたが、現在は住宅のドアの鍵や自動販売機のハンドルロック、ゴルフ場のロッカー錠など、みなさんが日常でよく目にするさまざまな用途のロック製品も製造しています。

私たちが製造する製品は日常生活の中で使われるものが多いのですが、セキュリティ製品であるという性質上、信頼性が非常に重要になります。そのため、外観だけではなく内部の構造まで含めて品質を保証する必要があり、部品一つ一つの品質管理が非常に大切です。

不具合の原因が見えないという課題

ーー今回CTスキャンを利用されたのは、『自動販売機用ハンドルロック(HK355)』の品質改善がきっかけだったと伺っています。

深田様:そうです。『自動販売機用ハンドルロック』は、亜鉛鋳造製のハンドルロックなのですが、海外生産から国内生産に切り替えた際に、メッキ後に表面が膨れるという不具合が出てしまったのです。鋳造の世界においてメッキが膨れる原因は、ほとんどが内部の巣、つまり気泡だろうということが分かっています。ただ、問題はその内部構造をどのように確認するのかというところでした。

それまでは、製品を切断して断面を目視で確認していました。ワイヤー放電加工機で切断して、内部を観察する方法です。ただ、この方法だと確認できるのは断面だけですし、検査にもかなり時間がかかります。1回の確認のために、丸1日時間がかかったこともありました。

さらに言うと、断面だけでは製品全体の状態までは分かりません。どこに気泡が多いのか、どの位置に集中しているのかといった情報は見えないため、どうしてもその後の改善策を立てるのにも、経験や推測に頼る部分が多くなってしまいます。このようなことから、製品の品質改善を進める上で、内部構造をもっと正確に把握できる方法が必要だと感じていました。

亜鉛鋳造品の内部観察を実現したテスコのCTスキャン

ーーそこで、テスコのCTスキャンを検討されたということですね。

深田様:はい。内部を壊さずに確認できる方法を探していた時に、CTスキャンという選択肢が出てきたのです。そこで、インターネットで「レントゲン」や「CTスキャン」「亜鉛」といったキーワードで検索し、最終的に辿り着いたのがテスコさんでした。

今回私たちが使用したのは、X線CT装置『TXS Micro』です。亜鉛はX線が通りにくいので、一般的な装置では内部がうまく見えないこともあります。実際、他社が所有している装置は225kVクラスのものが多く、透過が難しいケースもあると聞いていました。一方、テスコさんのX線CT装置『TXS Micro』では最大300kVまで出力できるため、亜鉛鋳造品でも十分な透過が可能で、内部構造を確認することができました。

その点、テスコさんはCT装置メーカーでもあるので、撮影条件を細かく調整してもらうことができました。こちらが確認したいポイントについて相談しながら進めることができたので、安心して依頼することができました。実際に装置も見学させてもらいましたが、設備や対応体制を見て、テスコさんならきちんと解析してくれるだろうと感じました。

CTスキャンで原因を特定し、品質改善へ

ーー実際にCTスキャンを行ってみて、どのようなことが分かりましたか?

深田様:まず驚いたのは、内部の気泡の位置や分布がかなりはっきりと見えたことです。これまで当社で行っていた製品を切断する方法では分からなかった内部の構造が、3次元的にくっきりと確認できました。

私たちはその結果をもとに、金型の構造を見直すことを決意しました。具体的には、鋳造時に発生するガスの逃げ道を増やすように金型を修正したのです。改善のプロセスとしては、CTスキャンで内部状態を確認して、金型を修正して、もう一度スキャンして確認するという流れです。『自動販売機用ハンドルロック』では、この工程を3回ほど繰り返しました。

その結果、以前は1000個作っても500個ほどしか良品にならないこともあったのですが、現在ではそれが80〜90%程度まで改善しています。内部品質という意味では、ほぼ問題ないレベルまで安定しましたね。

また、この取り組みは住宅向けドアハンドルでも活用させてもらっています。こちらも鋳造部品を使っているため、内部の気泡の状態を確認する目的でCTスキャンを利用しました。こちらは2回ほどスキャンを行い、品質改善に役立てています。

CTスキャンが変えた品質管理の考え方

ーーCTスキャンを導入したことで、品質管理の考え方も変わったと伺いました。

深田様:かなり変わりましたね。これまでは内部が見えないので、どうしても経験や勘に頼る部分がありましたが、CTスキャンを使って内部の状態を確認できるようになったことで、品質管理の基準をより明確にすることができました。
例えば、製品の単品重量です。内部に巣が多いと重量が軽くなるので、重量の変化から内部品質をある程度判断できるようになりました。その結果、金型温度の管理や設備部品の交換サイクルなど、管理項目も見直すことができました。以前よりも、品質を定量的に管理できるようになったと思います

ーー今後、テスコのCTスキャンを利用して実現したい未来について教えてください。

深田様:今後は、不具合が発生してから原因を調べるのではなく、新製品の開発段階からテスコさんのCTスキャンを活用していきたいと考えています。製品を市場に出す前の段階で内部品質を確認できれば、より安定した製品づくりにつながると思います。

今回の取り組みを通して、CTスキャンは単なる検査手段というより、製品開発や品質改善を支える重要な技術なのだと改めて感じました。特にテスコさんのように装置メーカーとしての知見も持ちながらスキャンサービスを提供している会社は、撮影条件の調整や解析の面でも非常に心強い存在だと思います。今後の製品開発でも、ぜひ一緒に取り組んでいきたいですね。