事例 フルカスタム

品質向上から、新たな検査・計測サービス展開へ。CFRP製プロペラの開発から生まれた、世界最大級のX線CT技術

荻田 淳史 様

ナカシマプロペラ株式会社
コンポジットグループ

荻田 淳史 様

PROFILE

岡山県に本社を置く、船舶用プロペラで世界トップクラスのシェア(国内約100%、世界約30%)を誇る、船舶用機器の開発・製造・販売メーカー。品受注生産やCFRP製プロペラ等の革新技術を通じ、船舶の環境負荷低減と生涯価値向上に貢献しています。

本事例で活用された製品

TXS Miniシリーズ

TXS Miniシリーズ

高出力ミニフォーカスX線
CTシステム

超高出力X線源450kV/600kVを搭載。
高精細ラインセンサーと大型フラットパネルを組み合わせることにより、肉厚や難X線透過材料への適応力を増加させたクリアな画質で内部観察が可能。

導入前の課題

  • 医療用CTによる大型製品の撮影サイズ制約
  • 装置仕様に起因する未撮影・未検査領域の存在
  • 人を撮る医療用装置の産業用透過出力不足
  • 8m級超大型プロペラに対応可能な手段の欠如

導入後の効果

  • 製品全体の三次元可視化による万全な品質保証
  • 一晩の撮影と翌日確認による迅速な検査体制
  • 高出力透過による厚肉部位の内部欠陥特定
  • 高度な検査・計測技術を活かした受託サービスの展開

世界最大級のCTが支える100年企業の挑戦――。CFRP製プロペラが切り拓く船舶の未来。

船舶用プロペラメーカーとして、世界トップクラスのシェアを誇るナカシマプロペラ株式会社様。同社では近年、軽量かつ高強度な「CFRP製プロペラ」の開発に力を入れています。その品質管理を支えているのが、テスコの工業用CTスキャン装置。今回は、CTスキャン導入の背景や品質改善への効果、さらに現在展開されている検査・計測サービスについて、お話を伺いました。

大型化・高性能化が進むプロペラ開発

ーーナカシマプロペラ株式会社様の事業内容を教えてください。

荻田様:当社は、船舶用プロペラを中心に製造している会社です。一般的な金属製プロペラだけではなく、近年はCFRP製のプロペラ開発にも力を入れています。

CFRP製のプロペラは軽量化や高効率化といったメリットがあり、船舶の性能向上や環境負荷低減にもつながります。ただ、その一方で内部構造の品質管理が非常に重要なんです。見た目だけでは分からない内部欠陥が性能や強度に大きく影響することがあるため、内部状態を念入りに確認する必要があります。

医療用CTでは対応しきれなかった大型検査

ーーCTスキャン導入前は、どのように検査を行っていたのでしょうか。

荻田様:現在の装置を導入する前は、グループ会社が所有していた医療用CTを借りて検査を行っていました。当時はそれで対応していたのですが、やはり医療用CTにはサイズ的な制約があります。人を撮影する前提の装置なので、大型のプロペラとなると検査できない領域が出てきてしまうんです。特に私たちは、将来的に直径8メートル級の大型プロペラまで視野に入れていましたので、このままでは難しくなるだろうという課題がありました。

また、工業製品を検査する場合、人を撮影する医療用CTとは求められる出力も異なります。そのため、本格的に工業用CTの導入を検討するようになりました。

きめ細かなカスタマイズ対応力が決め手に

ーーテスコを選ばれた理由を教えてください。

荻田様: 工業用X線CT装置を扱うメーカーはいくつかありましたので、社内でも比較検討を行いました。その中でテスコさんを選んだ理由として大きかったのは、大型装置をカスタマイズできるという点です。私たちが検査したい対象は非常に大型の製品なので、既製品では対応できないケースもあります。

その点、テスコさんは装置メーカーとして、こちらの仕様に合わせたきめ細やかなカスタマイズに対応してくれるとのことでした。最終的には、大型装置をしっかり作れる会社という点で、テスコさんが最も適しているという結論になりました。
現在使用している装置でも十分活用できていますが、将来的には950kVの装置が必要になる可能性もあると考えています。今は450kVで対応していますが、直径8メートル級のプロペラになると、今後さらに高出力が必要になる場面も出てくると思っています。

CTスキャンが変えた品質検査のスピードと精度

ーー実際にテスコのCTスキャンを導入して、どのような変化がありましたか。

荻田様:まず大きかったのは、検査のスピードです。一晩かけて撮影すれば、翌日には内部状態を全て確認することができるんです。以前のように、見えない部分が残るということも少なくなりました。医療用CTを使っていた頃は、サイズの問題でどうしても撮影できない範囲がありましたので、もし見えない部分に欠陥があったらどうするのかという不安もあったんですよね。

その点、現在は製品全体をしっかりと確認できるので、品質向上につながっていると感じています。また、内部状態を3次元的に確認できることで、開発や検査・計測の精度もかなり上がりました。単純な検査だけではなく、なぜこうなったのかを検査・計測するためのツールとしても活躍しています。

導入後は、検査・計測サービス事業も展開

ーー現在は、社外向けのCTスキャンサービスも展開されていますね。

荻田様:そうなんです。装置導入後は、自社製品の検査だけではなく、外部向けの検査・計測サービスもスタートしました。工業製品だけではなく、美術品など、さまざまな分野からご相談をいただいています。実際、さまざまなお客様から依頼をいただくことで、自分たちも多くの業界について知ることができています。これは、個人的にも非常に面白い部分ですね。

また、サービス展開にあたっては、テスコさんともかなり密に連携しています。撮影条件の調整や検査・計測方法など、相談させてもらう場面も多いですし、こちらで判断が難しいケースについては、一度相談して進めることもあります。

ーーそのようなアフターケアやサポートについては、どう思われますか?

装置を導入して終わりではなく、その後も継続して技術的なサポートを受けられ、非常に心強く思っています。現在は、年2回の定期点検もお願いしています。可動部のメンテナンスや高電圧部分の点検はもちろん、トラブル時にも迅速にサポートいただいています。

CTスキャンは、品質保証だけでなく開発を支える存在へ

ーーテスコのCTスキャンを利用した今後の展開について教えてください。

荻田様:テスコさんのCTスキャンは、単なる検査装置ではなく、製品開発や品質保証を支える上での重要な技術だと実感しています。特にCFRP製品のように内部構造が重要な製品では、内部を見える化できるということの価値は非常に大きいです。

また、テスコさんは装置メーカーでもあるので、こちらの用途や課題に合わせて柔軟に相談できる点も大きな魅力だと思っています。今後、さらに大型製品や新しい材料への対応も進んでいく中で、引き続き一緒に取り組んでいただけたらと思います。